
およそ 20年くらい前のこと...
今もそうなのかもしれないが、この辺り 焼き物の町では
「陶器は買うものじゃなく、貰うもの..」 なんて言われるくらい..
ボクもそんな感覚だったかもしれない..
そんな中、緑川酒造から「北穣 霞しぼり生」が新発売となる 。
蔵元発送 年1回のみの新商品に心躍らせた。
ふと思いついた.. 気に入った酒器で、この霞しぼりを迎えようと..
ギャルリ百草まで 嫁さんと足を運んで、
ボク自身 人生初、酒器を購入したのが 「安藤雅信・粉引盃」。
盃に注いだ時の風景や、口から器を迎えに行く感じを
まだ 見たこともない、味わったことのないお酒からイメージし、
恐る恐る買ったのを覚えている。
3/2 蔵元から届いた当日..
それはそれは 晩酌するのが楽しみだった..
瓶を二度ほど振り、瓶底にうっすらと沈んでいる澱を溶け込ませ、
春霞のような..白絹を纏ったような 何とも春らしい風合い...
封を開ける.. 粉引盃にに注ぐ...
その器と霞しぼりは、ボクが思った以上にしっくり来た。
口が開いた盃は ボクの鼻を包み込み 香りを伝え、
薄い飲み口と盃の形状は 何の違和感もなく
舌の上に 霞しぼりを運んでくれた。
舌触りが滑らかでいて..
フレッシュ感を持ちながら 口あたりがやさしい..
その夜は 何杯も注いで楽しんだのを覚えている。
そして何よりも、緑川酒造から新発売されたお酒を
人生初めて買った酒器で 楽しむ..
そのことに 自分自身に酔った 一晩であったことは間違いない。
今では、沢山の作家さんとの付き合いも増え、
都度購入した お気に入りの酒器も増えた。
唇の触れる触感や、器の形状によって
酒の味わいも変わってくることも経験した。
でも 今は、その日の気分で酒器を選び...
一献 楽しむ.. 最高の贅沢
どの酒器で、霞しぼりを楽しもうか....
悩むことも より美味しくいただくための
ひとつの要因。
今宵も最高の霞しぼりを楽しもう..